最期の一瞬に人が見る「何か」


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終わり良ければすべて良し。
喜ばしい言葉ですが人の一生も若い時には苦労が多かったけれど晩年は良き人生だった。
そんな事をお聞きするとその方の人生は良きものだったなあと感じる事ができます。
良き死に方をすることが終わり良ければすべて良しの究極といっても過言ではないかもしれません。
ほとんどの人はその最期の場所に慣れ親しんだご自宅を希望しているそうです。
しかし現実は病院で最期を迎える方が80%を超えてきているという統計があります。

人は人生の最期にその時間を共にするのはご家族ではなく病院の医療従事者となっています。

終わり良ければすべて良し。
その終わりに、人の命に、人生に深い関わりを一番持つのは医療従事者なのですね。
人の身体の温かみを感じる最期の手は病棟のスタッフの検温かもしれません。
最期に聴こえる声はやはり病棟のスタッフの声。
そして最期に瞼に映り天国の階段を上がる時に見えているのは病棟に従事する看護師の笑顔であるのでしょうか。
病棟医療に従事するということは命の終わりのシーンの舞台で働いていること。
そんな時代になりました。
高齢化社会を支えているとも言われる看護や介護の仕事は
命の週末の舞台を支えているのですね。

私自信こんな経験がありました。
病棟に入院していらっしゃる患者さんの治療をさせて頂いていた時の事です。
院内歯科施設で二つのユニットが並んでいてそのひとつに座られた治療の終わった患者さんが病棟からの迎えのスタッフをお待ちになっていました。
私は隣のユニットの患者さんの治療を始めておりました。
その時に小さな声で
「せんせ、あの。」
と治療を終えた患者さんに話しかけられました。
その時に私は
「少しお待ちくださいね。」
と答えて治療を続け終わってからその患者さんを見るとスヤスヤと寝入っていらしてそのまま病室に戻られました。
次の時にお聞きしようと思いその後の患者さんの治療を続けました。
そして次の予約の日にその患者さんをお呼びすると、病棟のクラークの方から亡くなられたということを伝えられました。
あの時が最期とは思わず話を聞かなかったことをとても悔いる瞬間でした。
患者さんとの日々はいつそれが最期になっても悔いの無い様に心していこうと心に誓った時でした。
医療の現場で仕事をするということはいつもその日が患者さんとの最期の日であっても悔いのないように働く日々であるともいえるのですね。